飼育・観察していた幼虫が、4月18日午後についに蛹になりました(左の写真)。きれいな緑色のだるま形の蛹です。数日すると成虫が羽化するでしょう。蛹になりたてなので、まだ黒い紋や、銀色の紋が目立ちません。
前報で報告したように、野外で発見した3齢幼虫を室内で飼育・観察しています。食草のキジョランの小株を鉢植えにして、そこに幼虫をつけてやりました。幼虫は葉の中央の脈をかじって、V形の食痕をつくりながら、どんどん成長しました。そして、食草を離れ、近くにあった時計の表面に静止して、脱皮の態勢となりました(下写真)。
頭部の次の前胸のあたりがふくらんでいるのは、4齢幼虫のヘッドカプセルがすでに形成されつつあるからです。4月2日に4齢幼虫になり、またどんどんキジョランの葉を食べました。そして葉の裏側の中央で脱皮態勢となりました(下の写真)。脱皮の際に食草から離れると思いましたが、食草上で脱皮することもあるとわかりました。
この写真は、前胸のあたりの終齢幼虫の頭部のふくらみがわかりやすいですね。3齢幼虫との違いは、腹脚のある腹節の背面の斑紋が白色でなく、他の節と同様に黄色であることです。また、前胸あたりにある突起が頭部の長さより長いことでしょう。3齢幼虫では、頭部と同じくらいですね。
4月9日に終齢幼虫となりました。終齢の5齢幼虫は、食欲がすごく、葉柄をかじっては、先端部から葉の全体を食べてしまいます。キジョランの小さな株だったので、全て食べつくしてしまうのではないかと心配しました。3齢後半~5齢の最後までに、小さめな葉をほぼ5枚食べました。そして、巨大な幼虫となりました(下の写真)。
5齢幼虫は側面の黄色紋がうすいですね。ストロボの発光の影響もありますが、区別点になると思います。脱皮したては齡の間の違いがわかりにくいことがあります。脱皮したての4齢幼虫は、3齢と同様に背面の黄色紋が白っぽかった気がします。
葉を十分食べて、鉢植えの鉢のへりを歩いているのを見つけました。蛹になるときに食草から離れることが知られています。蛹化や羽化の様子を観察したいので、見失わないように、透明なプラスチック容器に入れました。そして、ついに蛹になったわけです。
前報でも書きましたが、室内の方が野外より気温が高くて成長が早いですから、ちょうど野外ではこれから終齢幼虫が蛹になるところでしょう。ぜひ見つけてみてください。
おめでとうございます。
飛んでいる姿についての報告が多い中で、幼虫に食草を与え、育てて蛹までにした努力に感銘です。
広い土地を旅するアサギマダラは場所によっても食草のキジョランは同じでしょうか?今後の活動に期待しております。
孫が興味を持った、「はらぺこあおむし」の本に刺激されて、柑橘類の種を庭にまき、飛んできたアゲハが産みつけた、卵から、黒い幼虫、脱皮後の青い虫、そして蛹を観察しています。
香川さま
コメントをありがとうございます。
反応が鈍くて申し訳ありません。
アサギマダラの幼虫の食草は地域によって違います。
私は長野県なのですが、キジョランはありませんので、幼虫はキョウチクトウ科のイケマを食べます。
イケマは秋には葉が黄色くなって、地上部は枯れてしまいます。
キジョランよりも葉が薄く、ハート型の葉っぱをしています。大きいものは掌よりも大きくなる葉っぱがあります。
他にも食草はたくさんありますので、地元では何を食べているのか調べてみると面白いですね。
アゲハの観察も面白いですよね。
今日も長野県北アルプス山麓の我が家の庭で羽化したようで舞っていました。一時は鉢植えのユズを利用していましたが、鉢を減らしましたので最近はカラタチを利用しているようです。
時々サンショウも利用しています。
舞っている姿を見ていると、気持ちが休まりますね。
コメント、ありがとうございました。
>広い土地を旅するアサギマダラは場所によっても食草のキジョランは同じでしょうか?今後の活動に期待しております。
キジョランの分布は、カンコク南部、関東以西の本州、四国、九州、沖縄ということになっていますね。
タイワンには近縁のタイワンキジョランがあり、やはりアサギマダラの有力な食草です。
秋~初夏のアサギマダラの食草として、葉が大きくて常緑のキジョランはとても重要な植物といえるでしょう。