オスの占有飛翔

昨年(2022年)の10月頃にアサギマダラのメスの占有飛翔らしきものを観察した記事を書きました。この小文では、よく見られるオスの占有飛翔について簡単に紹介します。

私が初めて占有飛翔を見たのは、今から約40年前の10月頃のことでした。大阪府箕面市の瀧安寺の林の中の空間を1頭のオスがクルクルと飛んでいました。多分、晴れた午後早くの時間帯だったと思います。

そこは広葉樹林の中でぽっかりと開けたところで、中央に枯れた高木が1本立っていました。そのアサギマダラは急速な円形飛翔や、8字飛翔をしては、時々中央の枯れ枝で休憩していました。その飛翔の懸命な様子がとても印象に残りました。メスを待ち受けていたのでしょう。

この現象から、移動最盛期にオスは先回りして、林の中の開けた空間で占有飛翔を行い、通過するメスを待って配偶行動を行う、と考えました。そのような日だまり空間では、アサギマダラの食草であるキジョランなどのガガイモ類が芽を出し、メスが飛来しやすいのでしょう。

それからしばらく経ち、観察経験が増えるに従い、占有飛翔らしき飛び方を何回も見ることがありました。箕面市の瀧安寺で観察した典型的な占有飛翔は少なく、アサギマダラのメスが多い、金剛山の林道上空や、滋賀県のびわ湖バレイでは完全に林内で占有飛翔が見られることもありました。たいてい午後でした。

昔、アサギマダラの交尾行動の観察例をまとめたことがありました。交尾行動の時期は季節に関係なく、アサギマダラが活動する期間全般にわたっていました。アサギマダラは休眠性がありませんので、羽化して2週間ほどで成熟すると、一年中配偶行動をするのでしょう。

午前中に吸蜜した後、午後にオスが占有飛翔して、そこにメスがやってきて交尾にいたるのだと思います。それでも交尾できないメスが非常にまれに占有飛翔?を行うのかもしれません。

皆さんはどう思われますか?

“オスの占有飛翔” への2件の返信

  1. こんばんは。文章を興味深く読ませてもらいました。そんな行動をするのですね。私は昨年、ペンシルブラシを出しながら飛んているものを撮りました。その時は気がつかなかったですね。
    ただ、昨年の秋はこちらの飛来数は一昨年の十分の一でちょっとショックでした。南下の道が変わったのか、そもそも数が減ったのか、心配の種はつきません。藤袴を植えて準備はしているのですが・・こちらの場所は兵庫県南部の姫路です。
    そちらの方はどうでしょうか?

  2. 投稿、ありがとうございました。

    ヘアーペンシルを出したままで(あるいは、収納しきれずに)、飛んでいるオスもいますね。Facebookアサギマダラ・マーカーの広場のトップの写真は、私が撮影したのですが、ヘアーペンシルを出したままでした。かっこ悪いのか、今は見えないようになっていますが(笑)。

    ルリマダラ類は派手で立派なヘアーペンシルを持っていて、捕まえると、全開してびっくりさせます。逃げるための手段になっているのでしょうね。アサギマダラはそれほどではありません。

    昨年は、たいていの場所でアサギマダラがとても少なく、皆さん、非常にがっかりされました。ML-asagiでは原因について議論が続いています。まれに、三重県、和歌山県上富田町など、一昨年より多かったという所もありました。

    どの昆虫も、個体数の増減が大きく、天候や、天敵などの影響があるようです。アサギマダラは移動時の風向きなども影響しますから、ますます分かりにくいのでしょう。

    ところで、園芸店などで市販されている「フジバカマ」は、秋の七草で絶滅危惧種のフジバカマとは異なる種類のようです。市販されているほとんどは、コバノフジバカマという和名で呼ばれる別種と思います。種類不明の場合には、フジバカマ類と書いてもらえると助かります。

    よろしくお願いします。

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