アサギマダラは、北米のオオカバマダラのように、1000キロ以上も旅をする謎の蝶です。その生活は40年以上にわたるマーキング調査によって、少しずつ明らかになってきました。その謎の蝶がこの日本に生息することに、私たち愛好者は感謝しながら調査を実施しています。アサギマダラは国境を越えて人と人を結びつける稀有な蝶です。あなたもこの調査に参加してみませんか。
アサギマダラの会の昨年の総会で、アサギマダラのマーキング初心者向けの解説がほしい、という意見がありました。そこで、「初心者のためのマーキング講座」シリーズとして連載を開始したいと思います。今月中に連載を終了し、今後アップデートしていく予定です。その最初の回であるこの小文は、アサギマダラを見つけたらどうしたらよいか、という解説です。
このブログのトップページにも使っているこの写真は、コバノフジバカマ(絶滅が心配されている秋の七草のフジバカマではありません)に訪花しているアサギマダラのオスですが、マークがつけられています。大阪市内で10月に撮影された写真です。
西日本の平地では、9月末から10月末までの約1か月間にフジバカマ類に訪花するアサギマダラがよく見られます。植物園や、神社、庭に植栽されたフジバカマ類や、山地に自生するヒヨドリバナの花蜜には特殊なピロリジジン・アルカロイド(PA)が含まれ、アサギマダラのオスが主に誘引されます。
下の写真のように、メスは後バネの末端近くの黒い性斑がなく、フジバカマ類にはあまり誘引されません。林内にいて、食草に産卵しながら、コシアブラなどの別な花で吸蜜します。この写真は、日本でこのアサギマダラに標識された西川尚実さんによると、中国のカメラマンで侯鈞毛さん(”毛”の部分が日本のフォントにはなく表示できません。正確には毛でも手でもなく、”毛”のしの部分がまっすぐの漢字らしいです)が台湾の蘭嶼島で撮影されたもので、長野県から移動してシロノセンダングサ類に訪花したメスです。長距離を移動したアサギマダラですから、全体に色あせており、ハネのあちこちが破損しています。苦難の長旅の過酷さがしのばれます。
アサギマダラを見つけたら、よく観察してください。ハネに文字が書いてあれば、それがマークで、その文字を判読すると、どこから飛来したかがわかります。最近では1年間に約10万頭のアサギマダラにマークが付けられています。皆さんが見つけるアサギマダラにもマークが付いている可能性は高いのです。
お世話になります❤️
アサギマダラは 吸蜜以外に
水を飲むことは有りますか⁉️
水は必要ないのでしょうか?
どうしても 人間的な
習性が離れられませんので
ついつい心配して仕舞います❤️
質問、ありがとうございました。
>アサギマダラは 吸蜜以外に水を飲むことは有りますか⁉️
そう思うでしょうね。アサギマダラなどの蝶・蛾類の成虫は、原始的なグループ以外のほとんどが、水溶性の栄養だけを摂取します。固形物を摂取できる口器ではありません。
蝶・蛾類の口器は口吻と呼ばれていて、1対の左右の長い構造が、管状になっていて、その間を水溶物が通過します。そのため、水溶物であれば、何でも摂取できます。ほとんどは水分なので、別に水だけを摂取する必要はないでしょう。
アサギマダラも、花蜜以外に破損した植物の体液(PA摂取)、コンクリート上のしみ出し液(ミネラル?)、水田の水分(雑成分?)などを吸汁していることが観察されています。それぞれ、必要な成分を求めての行動と思われます。
アサギマダラを初めて見ました。山形県天童市の市内です。藤袴を植えていつか来てくれることを楽しみに待っていました。色褪せていましたがマーキングは確認できませんでした。嬉しくてメールしてしまいました。
投稿、ありがとうございました。承認が遅れ、申し訳ありませんでした。
アサギマダラの飛来があったとのこと、良かったですね。
ところで、販売されている「フジバカマ」のほとんどが、「コバノフジバカマ」という別種と判明しています。
よろしくお願いいたします。
2024.10.15 11時
山口県下関市豊田町矢田の子ども教室の農園で「オクバタ 930 TAF270」とマーキングされたアサギマダラを見つけました。
どんな意味でしょうか。ご教示ください。
投稿、ありがとうございました。承認が遅れ、申し訳ありませんでした。
山口県にお住まいの福村拓己さんが、下関市豊浦町川棚、奥畑で9月30日に標識されたものと思います。
よろしくお願いいたします。
2024 11月1日 12:30分
愛知県額田郡幸田町 三ヶ根山展望台 フジバカマ園
アサダマダラ 7頭見ました 「OSM514 KMR」マーキング
どんな意味でしょうね。 アサダマダラの飛来地です。毎年飛来します。
投稿、ありがとうございました。
次の標識記録がありますので、その後の標識でしょう。KMRは小諸市、OSMは大島氏の略号です。
よろしくお願いいたします。
標識:KMR 9.21 OSM 503
性別:♂
前翅長:54㎜ 鮮度:M
標識日:2024年9月21日 13:15
標識地:長野県小諸市水石蝶の里
座標:36.375164,138.417784
標高:1050m
天候:曇り 気温:20℃
標識者:大島康紀
アサギマダラが飛来して来ないかなとフジバカマの苗を6株植え 可愛いピンクの花が咲き10月19日になんと1匹アサギマダラがいるのを見つけました🦋
その後2〜3匹 多くて4匹ほど飛んで来ていました。
その中の1匹に 1568 JP とマーキングされた蝶を見つけました。
これは何の数字でしょうか?
私もお役にたてたらと
みえ いなべ 24 11 4 次の日には
みえ いなべ 24 11 5 とマーキングして飛ばしました。
元気に遠く迄飛んで行ってくれるといいのですが…
少しの時期でしたがアサギマダラが飛んで来て楽しませてもらえました😊
いなべ市は三重県の最北端にあります。
投稿、ありがとうございました。
「1568 JP」とマークがあったとのことですね。「1568」は個体番号と思われます。「JP」は日本の意味ですが、1568頭もマークする方が「JP」などと標識することは考えられません。他の文字の読み間違いではないでしょうか。
写真があれば、p.niphonica@gmail.com宛にお送りください。よろしくお願いいたします。
昨日、小笠原の母島でアサギマダラが飛んでいるのを見かけました。
写真が無いと情報としては意味が無いのでしょうか?
似た蝶もいるようですね。
母島で見ても渡りルートから外れているのかな?
投稿、ありがとうございました。小笠原諸島でもアサギマダラは毎年見られると思います。
自然環境研究センター(2010年当時)の岸本さんの報告によれば、次の再捕獲が記録されています。
「標識:(左前翅に)11/15 YSK2315 (左後翅に)串本
性別:♂
再捕獲地:小笠原諸島聟島列島聟島
N 27°41′01″ E 142°07′51″
最捕獲日:2010年12月2日 15時15分
再捕獲者:岸本年郎
その他:二次林内を飛翔
串本から小笠原へは南東方向に890Km程度ですが、その直線上には他の陸地はなく、直接に飛んできた可能性が高いように考えます。途中若干、北方にそれて八丈島等伊豆諸島南部に寄っているかもしれませんが、本州(関東地方)から伊豆諸島を徐々に南下するのではなく、一気に太平洋上に向かったのではないでしょうか。この時期の本土での東上個体の記録の少さからもそう考えてよさそうに思います。
また、これまで小笠原での再捕獲は私の知る限り、下記の2例のみです。
1: 愛知県田原市蔵王山権現の森 2005年10月
↓
小笠原村父島中央山南側 2005年12月30日
2: 福島県北塩原村グランデコスキー場 2006年8月24日
↓
小笠原村父島中央山南側 2006年12月10日
小笠原にはこの時期から春にかけて比較的よくアサギマダラが見られます。今回の調査中にも聟島列島の媒島(11月29日~30日)、聟島(12月1日~3日)、父島列島の弟島(12月4日~6日)において、ほぼ毎日数頭のアサギマダラを見かけました。出現状況を見るとこれらの個体(の少なくとも一部)は越冬する可能性が高そうですが、その後どうなるのでしょうか。興味がつきません。」
まだ、3例の再捕獲ですから、とても少ないですが、簡単に調査できない場所ですので、しかたがないとも言えます。