今回ご紹介するのは「中部地方から長野県へのアサギマダラの移動 2014-2022年」です。
長野県内で再捕獲されて、移動情報までこぎつけたデータをグラフ化してみました。
このグラフも、前回のグラフ同様、実際の再捕獲数はもっとありますが、【移動情報】が出ていないもの、信憑性のないものは一部除外し、再々捕獲は2例として扱っています。
移動情報の全体数から見ますと、2022年は非常に少なく見えます。10月10日現在、2021年の73に対して2022年は6分の1の12の移動情報でした。
中部地方の真中付近にあるのが長野県ですが、県内移動が多いのは、距離的に見ても納得いきます。緑色がそれです。南北約200km、東西約100kmの長野県で、100km前後の報告はよく見ます。
早い時には5月下旬から長野県内でアサギマダラの姿を見るようになりますが、5、6月の再捕獲の多くは暖かい地方からの移動です。
7、8月にはアサギマダラは標高の高い山に移動しているようで、その頃の再捕獲情報の中には、周辺の中部地方からの移動がわずかにあります。
では、移動情報が数として一番多いのはいつでしょうか。実は9月以降です。長野県を取り巻く中部地方からの移動もありますが、先日のグラフでご紹介した東北、関東地方からの移動が多くを占めています。
その背景には、アサギマダラが南下の時期に入ることもあるでしょうが、皆さんの頑張りも無視できません。
そのことも考慮すべき重要な要素の一つですので、今年はアサギマダラが少なかったと感じたことと、グラフが単純に一致しているとは言い切れないかも知れませんが、ご参考程度に見ていただければと思います。
そして、今年各地で発生した線状降水帯による大雨とか、6月後半以降の記録的な高温が、卵から幼虫、蛹にかけてのアサギマダラにどのように影響したのかは分かりませんが、涼しいところや安全な場所に移動することもできない段階で大きな打撃を受けなかったとは言い切れないのかも知れないと、素人ながらに思いました。
次回は、「近畿地方より南から長野県へのアサギマダラの移動 2014-2022年」をご紹介します。