マークを付けよう! ー初心者のためのマーキング講座(4)

さあマーキングをやってみましょう。フジバカマ類に訪花しているアサギマダラを発見したら、捕虫網で捕獲しましょう。吸蜜している個体を捕獲するのが最も簡単です。午後にオスがよく行う占有飛翔のように、くるくると上空を飛翔していて、おりて来ないときには、左手(利き手でない方)で白いタオルを回転させると、誘引されておりてくることがあります。それを右手(利き手)の捕虫網で捕獲します。これをタオル・キャッチなどと呼びます。末尾に記載したリンクの動画をご覧ください。捕獲したら、すぐに捕虫網をひねって、逃さないようにしてください。公共の場で、他に観察・撮影している人がいたら、それが終ってから捕獲してください。

捕虫網の中のアサギマダラを網の外から押さえながら、中に手を入れて胸をつかみます。ハネや触角などを破損させないでください。ハネの腹側の白っぽいところに細書フェルトペンでマークを書きます。私は、写真撮影されやすく、一番目立つ後バネ両側に個人記号(Itaru KAnazawa→IKA)と個体番号(100頭以内でおさまれば01~)を書きます。これさえわかれば、どの個体かは後で記載する記録を調べればわかります。そして前バネの片方に地名記号(OSAka→OSA)と日付(10月13日→10.13)を書きます。

記号を3文字にしているのは、他の多くの愛好者と重複しにくく、区別しやすいからです。今でもカタカナなどを使っている愛好者がいますが、チュウゴクやロシアなど外国で再捕獲されたときのことを考慮して、マークは英数字のみにしましょう。

間違って書いたり、読みにくい文字になったら、両側の白っぽい部分を使って正しく書きなおしてください。毎年判読不能なマークがいくつか見つかります。読めなくては、マークをつける意味はありません。マークを書いたら安心してすぐに放蝶しないでください。放蝶する前にきちんと用紙に記載しましょう

準備の回で説明したPDFをダウンロードして、プリンタでA4用紙に印刷した記録用紙に、次のように記載します。

これは2021年10月10日に和歌山県日高川町と有田川町の境界付近にある白馬(しらま)山麓で標識した記録の一部です。きたない字ですみません(笑)。10月になっても暑く、なかなか平地に降りてこないと思ったら、標高600m以上の山地にあるヨシノアザミに訪花していました。当初は日高川町だと思っていたので、(HiDakaGawa→)HDGと付けていましたが、翌日からは(AriDaGawa→)ADGと付けるようにしました。白馬山なので、SRMという記号も考えられますが、あまり細かく分けない方が、わかりやすいでしょう。空白は記入忘れではなく、「上と同じ」という意味です。急いで書いているので、自分なりのルールで記入しています。初心者は記入忘れと区別するために、全部に何か書く方がいいでしょうね。

オスとメスの区別は、第1回の解説をご覧ください。気温の下の数字が湿度(%)です。鮮度については、羽化したてに見えるものはN、全体に色あせて見えるものはO、どちらとも判断がつきにくいものはMに○をしてください。初心者は必要ありませんが、前翅長は胸部の白点(用紙の裏面に写真があります)から前バネの先端までの直線距離です。測定する場合には、きちんと測りましょう。自由研究などでは、前翅長をグラフにするとおもしろいでしょう。鳥などの攻撃跡(ビークマークと呼びます)などで破損があるときは有に○をつけます。備考欄には訪花植物名や、メスであれば未交尾(交尾痕がありません)か否かなどを記入します。アサギマダラ以外のカバマダラなどに標識したら、ここに「カバマダラ」と記入してください。

記載したら、手の上にのせて、「元気に旅をしてね」と声をかけてあげて、放蝶してください。全個体は必要ありませんが、記念すべきその日の1頭目は、写真を撮影しておくといいでしょう。人によっては、マークを付けた全個体を撮影されている猛者もおられます。私は無理ですが(笑)。

次は緯度経度とスマホアプリを解説する予定です。

アサギマダラのタオル・キャッチの動画・・・﨑山孝也さんのFaceBookの動画です。FBにログインすると見れるはずです。

位置情報とスマホ・アプリ -初心者のためのマーキング講座(5)

マークのついたアサギマダラを見つけたら -初心者のためのマーキング講座(2)

マークを付ける準備 -初心者のためのマーキング講座(3)