キジョランでアサギマダラの蛹と抜け殻確認:熊本県熊本市

アサギマダラの会員で熊本県にお住まいの益田勝行さんから24日、熊本市内の知人が育てているキジョランの葉裏で撮影したアサギマダラの蛹と蛹の抜け殻の画像を、提供していただきました。

益田さんが確認されたのは雨上がりとのことですが、緑色の蛹、とっても綺麗ですね。翅の一部が透けて見えますね。

アサギマダラの蛹 熊本市にて:益田勝行さん提供 2022年4月24日撮影

 

益田さんの知人の方は、アサギマダラを呼ぶために吸蜜植物のフジバカマの他に、幼虫の食草となるキジョランなども育てているそうです。

益田さんが20日に伺ってキジョランを確認したところ、2つの蛹があり「羽化してくれたら・・・」と期待していました。

その後、24日にも伺って確認したところ、抜け殻を2つ、蛹をひとつ確認して撮影できました。それが上と下の画像です。

アサギマダラの蛹の抜け殻1 熊本市にて:益田勝行さん提供 2022年4月24日撮影

もう一つはこれです。

 

アサギマダラの蛹の抜け殻2 熊本市にて:益田勝行さん提供 2022年4月24日撮影

 

昨年の羽化は4月15日に初めて羽化したとのことで、今年は20日以降ですので、若干遅いのかもしれません。

益田さんは「最後の蛹も無事羽化して旅立ってくれたらと思います」と、話しています。熊本市から旅立つ日はもうそろそろかも知れませんね。

益田さん、貴重な画像と情報提供を有難うございました。

フジバカマの新芽と近況など:石川県白山市「アサギマダラ空の駅・白山」

アサギマダラの会の会員でもあり、石川県白山市瀬戸「アサギマダラ空の駅・白山」代表の中村明男さんから、フジバカマの新芽の状態や近況などをお聞きしました。

「石川県白山市の「アサギマダラ空の駅・白山」の様子をお伝えいたします。

今年は例年になく大雪に見舞われ、ようやく春が訪れました。山桜も満開を迎えフジバカマも芽吹いてきました。

今年は昨年(800㎡)に引き続きフジバカマ園の拡張を計画していて5月の中旬に400㎡600株を植栽します。」

 中村明男さん提供

フジバカマの新芽が枯れた茎の脇からいくつも出てきましたね。

 中村明男さん提供

花畑の脇の山には山桜も咲いています。

  中村明男さん提供

広々とした畑ですね。ここに秋になるとたくさんのアサギマダラが来るのですね!

中村さんにお聞きしたところによると、地域の皆さんと2021年、地域おこしの一環として標高312mの耕作放棄地800㎡に、1300株ほどのフジバカマを植えたそうです。

フジバカマの花は8月22日からちらほら咲き始め、「アサギマダラ空の駅・白山」として2021年9月7日に開園しました。

秋には「すごい数のアサギマダラが飛んできた」そうです。南東側には「道の駅 瀬女」があり、アサギマダラの数に負けないくらいのお客さんの来訪もあったとか。

実はここ瀬戸のフジバカマに2021年5月14日、春の北上個体のアサギマダラがやってきました。白山での初見でした。中村さんがメーリングリストに報告し、嬉しい情報の一つとなったのは言うまでもありません「asagi:37362」。

中村さんは、2001年に立ち上げたホームページ「手取川の鮎と白山麓の見どころ」で、鮎情報だけではなく、アサギマダラ情報も発信しておられます。

2021年の再捕獲情報をご覧になると分かりますが、当地で非常にたくさんの再捕獲があったほか、白山マークが各地で再捕獲されているのがいるのが分かります。

さらに中村さんは、「自然大好き・あきさん」としてYouTubeでも動画を流しています。尾張勝也さん作詞作曲、野口理さんの素敵な歌声の「アサギマダラの唄」がバックで流れる「【アサギマダラの乱舞】石川県白山市で乱舞する蝶」を見れば、アサギマダラがフジバカマ畑を乱舞する様子をご覧になることができます。

アサギマダラの乱舞もさることながら、私はこの「アサギマダラの唄」の「小さな翅を羽ばたかせ 遥か彼方へ2000キロ・・・傷ついた羽根が物語る 孤独な旅路は2000キロ・・・」の尾張さんの歌詞が大好きなんです。非常に感動的な歌で、何度聴いても心にジーンときてしまいます。

実は2021年、ここ空の駅から2頭のアサギマダラが台湾までの旅をしたことが判明しました。最初の1頭は台湾西部の澎湖県 湖西林投步道で、11月9日に地元の小学校の許自由先生によって再捕獲されました。50日かけて2164kmの移動でした。

もう1頭は、台灣宜蘭東澳嶺への移動で、12月5日に再捕獲されました。76日間で1929kmを移動しました。

是非皆さんに、台湾まで行ったアサギマダラのことを思いに浮かべながら動画を見て、「アサギマダラの唄」も聞いてほしいと願っています。

中村さんは「今年もフジバカマ園の管理に勢力を傾けて「アサギマダラ空の駅・白山」を国内線の中継空港又、国際空港にしたいと目論んでいます」と張り切っています。

今年も北上のアサギマダラが立ち寄ってくれるといいですね。

アサギマダラ空の駅・白山」:石川県白山市瀬戸卯43-3  座標:36°17′23.1″N 136°38′54″E

アサギマダラの初見情報:長崎県上五島町

この数日間、長野県ですら夏のような陽気でしたが、皆さんのところはどうでしょうか?

こんなに暑い日が続くと、アサギマダラは一体今、どこにいるのだろうかと考えてしまいますよね。

長崎県の野下広人さんから嬉しい情報が届きましたので、ご紹介させていただきますね。

[asagi:04029]【初見情報】上五島

本日、2022年4月10日

長崎県上五島(地図上は中通島)の高熨斗山

33°00’25.4″N 129°03’46.5″E(グーグルマップ)付近で

1頭目撃しました。

白いタオルに無反応。

 

野下さんがくるくるタオルでアサギマダラを誘引した状況が目に浮かびますね。

お仕事でお忙しくて、アサギマダラどころか他の昆虫もネタゼロとのことですが、こうした情報は格別嬉しいですよね。

皆さんのところではいつ初見日なのでしょうね?今年最初にアサギマダラを見た日と場所や状況などを、野下さんのようにぜひ教えて下さい。可能な限り座標もお願いしますね。

野下さん、貴重な情報をありがとうございました。お仕事頑張って下さいね。

雪解けのフジバカマ畑:長野県小谷村平間

こんにちは。初めまして。

長野県の田原です。よろしくお願いいたします。

鹿児島県屋久島からは、アサギマダラの標識情報が届いていますが、雪解けの長野県小谷(おたり)村平間にあるフジバカマ畑の様子をご紹介いたしますね。アサギマダラ仲間の赤沼志保さんと4月10日訪ねてみました。

小谷村は長野県北部に位置する新潟県境の村です。まだ所々に雪が残っていましたが、フクジュソウと一緒にスプリングエフェメラルのアズマイチゲ、キクザキイチゲなどの花が咲きだしていました。

おたりアサギマダラの会の丸山里香さん(左)と赤沼志保さん

まずは会長の丸山里香さんにお会いし、今季の積雪をお聞きしてみました。何と言っても小谷村は長野県下有数の豪雪地帯だからです。

丸山さんは「この竹竿が隠れるほど積もった」と、畑に立てた竹竿の横に立って下さいました。竿は少なくとも地上1.8mはあります。どうやら2mほどの積雪があったようでした。驚異的な雪の量ですね。

でも、そのような小谷村でも、2021年のアサギマダラの長野県外への移動記録は81例(77個体)と、長野県内の市町村でトップだったのです。

その理由は、当然アサギマダラが移動して、各地の皆さんによって再捕獲されたからに他なりませんが、丸山さんが引き受けてくださっている、村内の関心ある皆さんの代理を含むたくさんの報告のご苦労と、赤沼さんを含む会員たちが行っているフジバカマの植え替えや畑とその周辺の維持管理があってのことなのです。

さて、丸山さんに話をお聞きした後、赤沼志保さんとおたりアサギマダラの皆さんが管理している平間のフジバカマ畑に行ってみました。オーナーの吉澤忠さんともお会いでき、お話をお聞きすることができました。

「今年は雪が多くて、2メートルも降ったよ。今日、信男君たちが、野焼きをしてくれたよ。フジバカマはまだ新芽が出ていないけど、きっともうすぐだよ・・・」と、吉澤さんは足の痛さも忘れて畑を案内して下さいました。

フジバカマの新芽を待つオーナーの吉澤忠さんと、赤沼志保さん

この畑のあるところからは、北アルプスの爺ヶ岳と鹿島槍ヶ岳が見えます。画像で奥にうっすら見えているのがそれです。

さらに、畑の下の方にはJR西日本大糸線の線路も走ります。実は赤字路線のため、そろそろ廃線になるという話も出ています。その線路脇には、日本海につながる姫川も流れているんです。実に見晴らしの良い畑なんです。

野焼き後の土手

上の画像は一段上の畑の土手です。芝のような土手の一部が黒っぽく見えるでしょう。当日朝、会員が野焼きをしてくれたそうです。野焼きは、地上の害虫の卵などを駆除する効果があるようで、北アルプス山麓の各地で、3月下旬から4月にかけて行われています。

フジバカマの株の脇に咲くアズマイチゲ

フジバカマ畑には、スプリングエフェメラルのアズマイチゲが咲いていました。まだフジバカマの新芽は出ていませんでしたが、愛らしい花ですね。

雪解けのフジバカマ畑

フジバカマは5株ほどを一緒に植えます。花が終わった秋には刈り込みますので、株だけがわずか10センチほど残ります。見えますね。実はこうした株に春の北上のアサギマダラが来ることがあるそうなんですよ。これは一段上の畑です。

新芽を探す赤沼志保さん

この日は20℃以上の気温となり、とっても暖かく、たくさんの花が一斉に咲き出していました。黄色いフクジュソウ、白いアズマイチゲ、白や薄紫のキクザキイチゲ、薄紫のタチツボスミレ、フキノトウ・・・。待ちに待った春の始まりですね。

フジバカマ畑に咲くアズマイチゲ

この畑は斜面になっています。一番最初に吉澤さんが一人でフジバカマを植えた畑です。

2年後くらいでしょうか、おたりアサギマダラの会ができました。会員たちによって写真の右上に見える土蔵の左側(野焼きの土手の下の平な畑)にもフジバカマを増やしました。フジバカマが増えたからでしょうか、2020年、2021年とアサギマダラの乱舞を経験しました。

4人で一日中マーキングしても、まだまだたくさんのアサギマダラが舞っていました。会員たちも吉澤さんも大喜びしたことは間違い無いのですが、実はそれだけではなく、2020年には台湾での再捕獲も経験しました。

そんな小谷村から丸山さんと赤沼さんが、またフジバカマ情報などを発信してくださると思います。楽しみですね。

各地の情報もぜひお寄せ下さい。

2022年4月12日