赤とんぼとよく勘違いされる「ウスバキトンボ」。実はアサギマダラみたいに長距離を移動しているそうです。
熊本県の益田勝行さんから先日、ウスバキトンボの全国調査が始まったと連絡をいただきました。
益田さんによると「ウスバキトンボは熊本辺りではお盆の頃に、街中の公園等でも沢山見られ、一番市民に身近なトンボかもしれません」とのこと。
「マーキングをやってみました」と、画像も提供してくださいました。
マークは8月21日の「キF2」。
「ウスバキトンボ全国マーキング調査」のホームページもあります。
https://sites.google.com/view/usubaki/
NHKの「ダーウィンが来た!」で8月28日、2分間の放送があったようです。ご覧になった方も多いでしょうね。
https://www.nhk.jp/p/darwin/ts/8M52YNKXZ4/blog/bl/p9oerqkz41/bp/pMjVEPW75M/
全国マーキング調査のホームページによると、9月8日朝現在、6600頭あまりのウスバキトンボにマーキングがなされ、24頭の再捕獲が報告されています。0.36%の確率なので、再捕獲は近距離かも知れませんね。
益田さんの言われる「一番市民に身近なトンボ」。そう思って、よく通う長野県松本市の東山にある標高1400mから1800m程度の美ヶ原の林道沿いでアサギマダラ調査のついでに探してみました。でもアキアカネは楽に発見できるのに、ウスバキトンボを見つけることはできませんでした。
ところが先日、松本盆地の西側の朝日村の標高900mほどの所に行った折に、空中を舞うアキアカネよりもちょっと大きめのオレンジ色っぽいウスバキトンボを発見しました。最近山ではアキアカネばかり見ていたので「大きい!」と感じました。
ウスバキトンボを探すのって、視線を下向きではなく、ちょっと上向きにしないと見えてこないですね。遠くの山や空の雲に目が行くのに、どうやら私は、目の前を舞う小さな昆虫たちを無視していたようです。
そこで近年撮影したトンボの画像を探してみました。残念ながらウスバキトンボの画像は私の撮影データフォルダの中では見つけることができませんでした。それもそのはず、ほとんど目線を横か下に向けていたのですから。
「ウスバキトンボはあまり止まらない」と後で知るのですが、どうやらそれほど休むこともなく舞い続けているようですね。静止画像は「ウスバキトンボ全国マーキング調査」のホームページにあります。体を水平にして止まる訳ではないようです。上のリンクからご覧になってください。
私は長野県なので、フィールドではいろんな生き物たちに出会います。当然トンボも出会うと時々カメラのレンズを向けてきました。しかし飛翔個体の撮影は非常に難しくて、あんなに大きなオニヤンマでさえも苦労しています。何度も何度も目の前を往復してくれるのにです。
まして空中を舞い続けるウスバキトンボにはレンズを向けることもなく、撮影していたのは木の枝などに止まっている赤とんぼだけだったのです。しょぼんとなりますね。
そんな訳で生体などの詳細は当然私にはわかりません。でもアサギマダラのように、どこかで再捕獲されたら、分からないことがどんどん分かっていくのでしょうね。
今回はウスバキトンボも移動性昆虫のひとつとして非常に興味深いなと思いましたので、ご紹介させていただきました。
益田さん、情報提供を有難うございました。